インタビュー

データサイエンティストが生き残るために必要なのは「本質を見抜く力」|小川卓氏x尾崎隆氏対談

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今後のデータサイエンティストの役割は?

小川氏:実はですね、データサイエンティスト以外の人間から見ると、データサイエンティストの能力の有無って正直わからないんですよ(笑)

尾崎氏:ははは(笑)

小川氏:「このモデルを使う人がすごい、すごくない」っていうのをちゃんと理解していない側からすると、今おっしゃっていただいたようにビジネス面での提案だとか、本質を理解してもらえるような説明や内容とかってのが大事な気がしてます。

尾崎氏:そういう意味で言うと、やっぱりビジネスの人材と、小川卓さんのような意思決定のアナリティクスができる人とデータサイエンティスト、3者がみんな本質を理解して共有していることが僕は大事だと思います。

小川氏:そこがあれば、そんなにぶれない気がしますね。

尾崎氏:裏を返すと、どんなに正確なモデルを作れるデータサイエンティストでも、本質を見逃していると訳のわからないモデル作ってしまいかねませんからね。そんなん作ってたら、「これ使えないじゃん、お前要らないよ」って言われてしまいます。

データサイエンティストの需要は二極化へ

ーでは「今後求められるデータサイエンティスト像」はどうなっていくのでしょうか?

尾崎氏:まず、データサイエンティストの需要そのものについては、以前に比べて落ちてると思うんですよね。
というのは、エンジニアコミュニティとか分析者のコミュニティの中では「終わった」ってみんな思っている状態で・・・。

小川氏:もうですか?やっていること自体の活動は終わってないイメージですが。
じゃあ終わった理由は?データサイエンティストを必要とする大手企業の採用が落ち着いたのか、これ以上採る必要なくて終わったのか…

尾崎氏:両方ですね。端的に言えば「僕のところに去年来てたスカウトメールが今年は少ないな」って感じです。あと面白いのが、去年は「うちにはデータサイエンティストがまだいないんです。ぜひきませんか?」って来てたメールが、今年になって「うちにはこんなにデータサイエンティストがいるのであなたもどうですか?」みたいな感じに変わってるっていう。

小川氏:分かりやすい(笑)いわゆる「一時的な流行り」は終わったと。

尾崎氏:そうですね。データサイエンティストの椅子の7割はもう埋まったんで、残り3割は良い人を入れましょうみたいな所に来ています。そういう意味で言うと、ブームは終わったけれども、カルチャーとしての定着は昔よりもっと進んでいるっていうイメージですね。だからその分、採用する側も凄くシビアに見るようになってて。それこそ「重回帰分析だけ分かります」みたいな人はなかなか今採用されにくいかなと。
そして問題はここからの「人落ち着いたけど、結果出せるんですか」っていうフェーズです。

小川氏:そこですよね。一番大変なフェーズですよ。

尾崎氏:これで結果を出したところは、今後もどんどん力を入れていくと思います。現在このフェーズにある会社はたくさんあります。ただ、それ以上に多いのはあんまり結果の出てない会社です。

小川氏:上に行くか下に行くか。二極化していくタイミングですね。

尾崎氏:そうなんですよね。

小川さん尾崎さん①

価値あるデータサイエンティストは「ビジネスにコミットできる」人

小川氏:尾崎さんから見た時に、二極化は何で決まると思います?

尾崎氏:それはやっぱりさっきの話に絡んできますね。

小川氏:「本質を理解するかどうか」ってところね。

尾崎氏:そう。データ分析やサイエンティストとして入ってモデル作る人たちが、本質を理解しているかどうかです。本質を理解しないまま自分の研究、もしくは開発みたいなところに自己目的化して没頭しちゃうと、結局価値が出ないんですね。やっぱりビジネスなんで「価値出してナンボ」っていうのが常につきまといますから。

小川氏:解析もそうですね。

尾崎氏:僕、元々は脳の研究をしていて…実は統計学も機械学習も本筋の専門じゃないんですね。なので今でも「果てしなく勉強し続けないと全然追いつかない」そういう状況でやっているんです。
でも、無軌道に勉強しているわけじゃないんですよ。やっぱり必要があって、この手法を理解してモデルに使えれば、きっと今持っている仕事、もしくはこれから振ってきそうな仕事に役に立つと思っているから勉強しています。

-統計を極めているから結果を出せる、とは必ずしも言えないんですね。

小川氏:多分、業界の中で我々より統計に詳しい人って確実にいっぱいいるはずなんです。
もっと統計に詳しい人、もっとアクセス解析を知っている人、より色々なGoogleアナリティクスを詳細まで知っている人、そういう人は結構いるとは思っています。

ただ、そこで勝負するとなるとすごく大変になるので、どっちかというとさっきの本質の話やビジネスにつなげられるようなスキルセットを勉強したりとか、授業の中で学んでいくっていうのが今の生きる道なのかなと個人的には思っています。

アクセス解析は業務の1割程度です。残りの9割は目標設定や考えるところとか、あと、実際のコンテンツを作るようなところ。なので、研究者みたいに「ここだけを突き詰める」というようなやり方だと、さっきの「結果出してナンボや」って時にきつくなってきますよね。だからこそ、コミュニケーションを通してお互いに本質を理解するとか、本質を理解した上で形にしていくというところがすごい大事な気はしますね。

尾崎氏:今、研究経験者とか大学院卒とか、あとドクターとか、そういった人達の参入がだんだん増えてきている印象があります。
でも彼らですらかつての僕と同じように、間違いなく壁にぶつかる時が来ると思うんですよね。で、そういったときに本質をきちんと理解し、そこに向かってちゃんとコミットできるか否かで彼らのキャリアプランも決まってくるんじゃないかと考えています。そして、ひいては業界全体、データサイエンティスト業界全体の見られ方も決まってくるんじゃないかなと。

小川氏:ビジネスとかでやるとしたらそこが大事だよね。

尾崎氏:そうなんです。
「ちゃんと本質をつかまえること」。結局それに尽きるので、本質をちゃんと分かっている人は何をやってもプラスになるんですよ。

小川氏:もしこれからデータサイエンティストの採用を考えるなら、本質がちゃんと分かるかどうかってのは、面接とかで確認できるほうがいいですね。もちろん「最低限のスキルやモデリングの能力はあると」いう前提での話ですけど。会社に貢献できるかどうかを判断するために「周りとどう協力してきたか」とか、「どういう風にコミュニケーションを図ってきたか」を見抜けるといいですね。

小川さん①


mini_machino一時的なブームが落ち着きつつあるデータサイエンティストが次に目を向けるべきなのは「どう結果を出せるか」と語る尾崎氏。

データサイエンティストに求められることが今後どう移り変わってくのか、今後の動向に注目です!